省エネ計算は大橋豊建築設計事務所へ
AMENDMENT省エネルギー基準の改正について
この記事では平成25年に改正された住宅・建築物の省エネルギー基準が以前とどう変わったのかをみていきたいと思います。
主な項目は以下の4つです。
「一次エネルギー消費量」基準が導入されました
以前は非住宅建築物は外皮の熱性能を評価するPALの基準と、設備ごとに評価するCOCの基準が用いられてきました。また住宅は外皮の熱性能のみの基準でした。
改正後は非住宅建築物は外皮の熱性能を評価するPALの基準と、住宅は外皮の熱性能を評価する新しい基準(後述)に加え、非住宅建築物・住宅ともに「一次エネルギー消費量」という基準が導入されました。
「一次エネルギー消費量」の算出には、まず「エネルギー消費量の合計」を求めます。
これには冷暖房、換気、照明、給湯、昇降機(非住宅建築物及び共同住宅が対象)、事務機器・家電調理(省エネ手法は考慮しない)が含まれます。
次に太陽光発電、コージェネレーション設備などのエネルギー利用効率設備によるエネルギー創出効果から「エネルギー削減量」を求めます。
建築物全体の「エネルギー消費量の合計」から「エネルギー削減量」を差し引いたものが「設計一次エネルギー消費量」となります。
こうして算出した「設計一次エネルギー消費量」が改正前の基準仕様で算出した「基準一次エネルギー消費量」以下になる必要があります。
外皮の熱性能に関する基準が変更されました
非住宅の外皮の熱性能については、従来通りPAL(年間熱負荷係数)で評価します。
住宅の外皮の熱性能については、以前は「年間冷暖房負荷/熱損失係数」と「夏季日射取得係数」が基準でした。
改正後は「外皮平均熱貫流率」と「冷房期の平均日射熱取得率」が基準となりました。
※外皮平均熱貫流率
[住宅の内部から外部へ逃げる熱量]を[外皮表面積]で平均した値
※冷房期の平均日射熱取得率
[入射する日射量 に対する 室内に侵入する日射熱 の割合]を[外皮表面積]で平均した値
また、以前はすべての地域で断熱性能、日射遮蔽性能の基準を設けていました。
改正後は土地の気候が考慮され寒冷地においては日射遮蔽性能の基準が、蒸暑地においては断熱性能の基準が設けられなくなりました。
改正前の省エネルギー基準
地域区分 | I | II | III | IV | V | VI | ||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
熱損失の基準値[W/(m2・K)] | 1.6 | 1.9 | 2.4 | 2.7 | 3.7 | |||
夏期日射取得係数の基準値 | 0.08 | 0.07 | 0.06 |
改正後の省エネルギー基準(平成25年基準)
地域区分 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
外皮平均熱貫流率の基準値[W/(m2・K)] | 0.46 | 0.46 | 0.56 | 0.75 | 0.87 | 0.87 | 0.87 | – |
冷房期の平均日射熱取得率の基準値 | – | – | – | – | 3.0 | 2.8 | 2.7 | 3.2 |
地域区分が変更されました
これまで住宅(Ⅰ~Ⅵの6区分)と非住宅建築物で異なっていた地域区分が、改正後8区分に統一されました。ただし、PALについては従来と同じ地域区分が適用されます。
「建物用途区分」から「室用途区分」へ変更されました
非住宅建築物の 基準一次エネルギー消費量の設定に際して、以前は8種類の建物用途区分が用いられてきました。
改正後は室用途の構成によるエネルギー消費量の違いを考慮できるように201種類の室用途区分毎に細分化し一次エネルギー消費量の基準値を設定するようになりました。
省エネルギー基準の改正まとめ
平成25年の改正により建物の用途ごとの省エネルギー性能の評価単位は以下のようになりました。